プラスチック加工のプロフェッショナル、株式会社ラヤマパック(東京都葛飾区)が運営するモノづくりスペース「具現化工場」のブランド構築からWeb制作、空間編集を担当しました。

ラヤマパック|具現化工場

空間編集、ブランド構築

モノづくり支援スペース「具現化工場」のブランド構築と空間編集

プラスチック加工のプロフェッショナル、株式会社ラヤマパック(東京都葛飾区)が運営するモノづくり支援スペース「具現化工場」。今回は空間デザインだけでなく、ブランド構築チームを組成し、「具現化工場」のロゴ、タグライン、コンテンツ、ウェブサイト制作まで担当しました。

相談できる、創造できる、製造できる。
モノづくりのその先までかたちにする力を言語化・視覚化

「具現化工場」は、これまで一部の紹介者のみが使える場所でしたが、今春よりサービス体制を整備して誰でも使えるモノづくりスペースとして営業することを目指してていました。とはいえ、もともと自社工場の一部を再利用しているという状況。専用ウェブサイトもなく、具現化工場の魅力や強み、実際に何ができるかなどが非常にわかりづらい状態でした。

そのため、今回は具現化工場の空間デザインだけでなく、具現化工場を必要とする人たちにメッセージを届けるブランディング構築も提案。ロゴやタグライン、専用のウェブサイトも制作することになりました。

ブランド構築プロジェクトチームには、岩沢兄弟のほかに6名のクリエイターを集結。グラフィックデザイン・松本健一さん(MOTOMOTO)と佐藤千祐さん(MOTOMOTO)、コピーライティング・森田哲生さん(Rockaku)と菅原 好雪さん(Rockaku)、ウェブデザイン/構築・根子敬生さん(CIVIL TOKYO)、写真・たださん(ゆかい)と一緒に制作を手掛けました。

実際に出来上がったウェブサイトはこちら

ロゴでは、日本の町工場らしさや、頼りがいのある力強い印象を視覚化しました。

タグラインは「相談できる。創造できる。製造できる」

具現化工場には、3Dプリンターやレーザーカッター、UV印刷機器や木工関連機材など、一通りの試作が叶う機材が揃っています。さらにユニークな点は、運営会社であるラヤマパックが、プラスチック加工の自社工場を保有し、葛飾周辺のさまざまな町工場のネットワークを持っていること。つまり、具現化工場に来れば、モノづくりの試作から量産まであらゆる相談ができるのです。

ウェブサイトでは、シンプルに伝えるタグラインや、わかりやすいコンテンツで独自の強みを表現しました。

元工場の雰囲気を生かした空間編集

そして、もう一つ手掛けたのは、工場の「空間編集」です。

元工場の空間は、それだけでも大変魅力的でした。そのため大きなリニューアルではなく、既存の設備を配置転換し、一部の什器や家具を追加することで、空間全体の雰囲気を作り変えていく方法を選択しました。(そのため、空間編集と呼んでいます)

元々ラヤマパックの工場で使用していたラックをFab機材置き場として活用。テーブルは岩沢兄弟のオリジナル制作。

大きな予算をかけずとも、空間や既存什器の素材がよければ、小さな工夫だけでも空間の雰囲気を変えることができます。

モノづくりスペースのブランド構築から機能整理、空間編集まで。岩沢兄弟にとってもチャレンジの多いプロジェクトとなりました。

きっかけは「東京ビジネスデザインアワード2018」での受賞

今回のプロジェクトのきっかけは、2018年10月に遡ります。

岩沢兄弟とラヤマパックが出会ったのはは、東京都が主催し、日本デザイン振興会が企画・運営する「東京ビジネスデザインアワード2018」。東京都内の中小企業の技術や素材をテーマに、デザイナーが新たなビジネスデザインを提案するそのコンペティションに、岩沢兄弟も参加しました。

岩沢兄弟は、ラヤマパックの保有する卓上真空成形機「V.former」のパッキング技術を使って、モノとともに思い出をパッケージする新サービス「PACK YOUR STORY」を提案。テーマ賞を受賞しました。そして、ラヤマパック社との二人三脚でのサービスプロトタイピングがスタートしました。

東京ビジネスデザインアワード2018 :https://www.tokyo-design.ne.jp/archive/2018/

ラヤマパックの「具現化工場」の可能性に気づく

出会いから数ヶ月、プロトタイピングを重ねたり、ワークショップを実施したり。共働する中で、岩沢兄弟はラヤマパックの経営者である、羅山社長の目指したい世界観に触れていきました。

現在、プラスチックは、環境配慮の側面から使用を禁ずる流れが世界中に広がりつつあります。一方、プラスチックは他の材料に比べてリサイクルしやすいという特徴があります。

「大量廃棄を前提とした用途は見直される必要があるが、有用な再利用資源として長期利用を目指す方向には可能性があるのではないか。まだ見ぬ可能性をひらいて新事業への活路をつくるため、下請けの案件だけにとどまらず、思いもよらぬアイデアや使い方を見出し続ける場をつくりたい」と、プラスチック加工のプロフェッショナルである羅山社長は考えていました。

また、ラヤマパック社が本社を構える葛飾区には、実は多くの町工場が存在しています。大田区や墨田区などが町工場エリアとして注目を浴びる中、葛飾区のモノづくりを通じて活性化したい。

この2つの思いが重なってカタチになったのが、近隣の町工場とも連携し、つくりかたの相談、試作から製造までを支援するモノづくりスペース「具現化工場」構想でした。

社長が実現したい世界観を知り、岩沢兄弟が考えたのは「今何にリソースを割くべきか」ということでした。新サービス事業と同時に具現化工場を実現するには、多大なリソースが必要となります。

そこで、「具現化工場」を先行して形にすることに協力しようと決めました。

具現化工場のブランドをしっかりと構築し、伝えたいメッセージやビジュアルを通じて、羅山社長の想いに共感するクリエイターをもっと集めていきたい。その上で、私たちもクリエイターとして、引き続き新サービスの試行錯誤を続けることを提案し、今回の「ブランド構築」と「空間編集」を手掛けることになったのです。

引き続き「具現化工場」の発展にパートナーとして関わっていきます。

次はいよいよ場づくりに取り掛かります。「楽しそう」「相談したい!」と思った方は、ぜひ一度見学にお越しください。岩沢兄弟は引き続き、具現化工場やラヤマパックでのサービス開発に関わっていきます!

クライアント:株式会社ラヤマパック
ブランド構築(具現化工場)
・ディレクション:いわさわたかし
・ロゴデザイン:松本健一(MOTOMOTO)、佐藤千祐(MOTOMOTO)
・タグライン:森田哲生(Rockaku)、菅原 好雪(Rockaku)
・撮影:ただ(ゆかい)
Web制作(具現化工場サイト、株式会社ラヤマパック本体サイト)
・ディレクション:いわさわたかし
・情報設計:森田哲生(Rockaku)、菅原 好雪(Rockaku)、根子敬生(CIVIL TOKYO)
・コンテンツ作成:森田哲生(Rockaku)、菅原 好雪(Rockaku)、いわさわたかし
・Webデザイン:根子敬生(CIVIL TOKYO)
空間編集(具現化工場)
・空間デザイン、ディレクション:いわさわひとし
・家具製作:いわさわひとし、土田 誠
プロジェクト期間:2019年9月〜2020年3月

株式会社ラヤマパック

プラスチック加工に精通した、プロフェッショナル組織。真空成形、ブロー成形、射出成形の自社工場を所有し、豊富なプラスチック加工技術で、化粧品・文房具のパッケージから、精密機器ケース、工業用タンク、自動車部品(空調ダクト)まで製造。製品設計から、マシニングセンタやNCフライスを用いた金型の設計・製造まで一貫して自社内で行う。V.formerをはじめとした機器の開発製造、具現化工場の運営を通じて、モノづくりとプラスチック加工の可能性を探究している。