東京の島、神津島で立上がったアートプロジェクト「HAPPY TURN/神津島」の新しい拠点づくりを担当しています。現在も進行中。

HAPPY TURN/神津島|プロジェクト拠点

空間デザイン

東京の島、神津島で動き始めたアートプロジェクトの拠点をつくる

東京・伊豆諸島に位置する、神津島。この人口約1900人の小さな島で始まった、「HAPPY TURN/神津島」は、NPO法人神津島盛り上げ隊、東京都、アーツカウンシル東京の3者が共同で取り組むアートプロジェクトです。
岩沢兄弟は、「HAPPY TURN/神津島」の活動拠点となる空間の企画・設計と、場と人々をつなぐコミュニケーションの提案を担当しています。

拠点づくりの始まりは、あちこち歩き回ることから。

始まりは、2018年夏。初めて降り立つ神津島。これから拠点づくりが始まります。まずは、村の様子や、景色の体験を身体に取り込むために、ひたすら歩き回ります。

こうして偶然に身を任せながら、のちの拠点づくりで使えそうなモノ、面白そうな人や村の記憶を探ります。

新しい拠点候補は、元中華料理店。何を残すか、捨てるか、変えるかを調査する。

「HAPPY TURN/神津島」の新拠点となるのは、「常吉亭」という名前の元中華料理店。閉店後、しばらく手入れされていなかった空間を丁寧に確認しながら、これからつくる拠点のイメージを膨らませていきます。

全てを変えてしまうのではなく、建物が生きてきた記憶を少しだけ残すー。何を残し、何を捨てるか。改装のポイントを探します。

ひらいた場所をつくるために、まずは「仮開き」してみる。

今回の拠点づくりでは、つくっている段階からでも、いかに村に関わる人々とまじりあえるか。家路の帰り道や、遊びに行く途中、なにかふらっと寄れるような、ひらいた場づくりをするにはどうしたらいいか。その問を頭の中だけで完結せず、まずはやってみようの精神で動いてみることも重要です。

私たちは、早速まだなにも手を付けていない拠点を掃除し、仮設空間をつくって村の人々を招く「仮開き」を行いました。

「ご自由におかけください」ベンチを用意すると、早速地元の学生たちのたまり場に。

夜は、村の人々を招いて「仮開き夜会」。お酒を酌み交わし、語り合うことを通じて、拠点を知ってもらい、どんな場にしていけばよいかのイメージの解像度を上げていきます。

「波板」を壁一面に利用した、新拠点リノベーション

本格改装には「波板」を利用。外からでも中の様子がわかるような風景をつくりました。

島という土地の特性上、台風など自然災害が多いため、ガラス戸を入れると割れてしまうリスクがありました。「波板」は透明であるため採光性が良いだけでなく、割れにくく頑丈、加工もしやすいというメリットが、今回の地場と予算、つくりたい拠点イメージにぴったりと考えて取り入れました。

外からの光が入り、室内も以前に比べて格段に明るい雰囲気に。

外には出入り口の他、出窓も作りました。ちょっとした談話や、今後たとえばコーヒーを振る舞うなんていうシーンが出てきても対応できます。

玄関口は、あえて道路に面さない方向に取り付けました。子どもも出入りする予定の拠点。拠点が面する道路は、通常車も通ります。飛び出し事故にならないよう、また少しだけ建物の敷地内に入って立ち話がしやすいような工夫をしました。

また、元中華料理店「常吉亭」の看板はそのまま残すことに。

拠点づくりは、まだまだ続く。

現在も引き続き、拠点拡張を計画中です。

ぜひ、みなさん神津島に遊びに来てください!

主催者プロジェクト名:HAPPY TURN/神津島
主催(企画・運営):東京都、アーツカウンシル東京、特定非営利活動法人神津島盛り上げ隊
拠点設計、関係変化の仕掛け設計:岩沢兄弟
撮影:中田一会(きてん企画室)

HAPPY TURN/神津島

約1900人が暮らす伊豆諸島のひとつ神津島において、島と関わる人々の島へのシビックプライドを醸成することを目指すアートプロジェクト。東京都、アーツカウンシル東京(公益財団法人東京都歴史文化財団)、特定非営利活動法人神津島盛り上げ隊の3者の共同事業として企画・運営しています。