トランスコスモス|デジタルインタラクティブサービス本部 オフィス

空間デザイン、家具デザイン、映像・音響機器監修

トランスコスモス DI本部 新オフィスの空間デザインを岩沢兄弟が担当しました

岩沢兄弟は、トランスコスモス株式会社 デジタルインタラクティブサービス本部(以下:DI本部)のオフィス移転プロジェクトに参加。渋谷ファーストタワー内にオープンした新オフィスは、6階と7階の2フロアに分かれており、岩沢兄弟は新オフィスのコンセプト策定、7階エリアの全体ディレクション、空間・家具デザイン、映像・音響機器監修を担当しました。

トランスコスモスでは、これまで総勢2000名に上るDI本部のメンバーが渋谷本社と飯田橋事務所の2拠点に分かれて働いていました。そのチームを1つのオフィスに集結させることで、ナレッジシェアやコミュニケーション、アイデア発想を活発化させ、生産性とエンゲージメントを向上させたいという目的で始まりました。

普段はリモートでも、出社したくなるオフィスを目指して

「Open & Humanity」。私たちが担当した7Fのスペースコンセプトです。人と人との対話を促し、オンラインにはまだない臨場感や、垣根のない情報共有や情報発信をテーマにしたフロア。まだ知らないモノゴトとの出会いを促し、仕事に必要なインスピレーションを得られる場所を目指しています。

スペースコンセプトを体現する空間をつくるため、「Simple & Flexibility」をキーワードとしたオリジナル家具をデザイン・製作。

今回はUXデザイン設計のパートナーにShhh.incを迎え、社員インタビューや社内ワークショップといったリサーチフェーズを先導してもらい、共同でスペースコンセプトに落とし込みました。その後は岩沢兄弟が全体空間と家具のデザイン。Shhh.incがコンテンツディレクションと各種ツールのグラフィックデザインと役割分担しながら共同で進めてきました。

プロジェクトの進行中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、DI本部の働き方方針が大きく変わりました。そこで、空間設計も抜本的な見直しをはかり、オンラインMTGやリモートワーク、多様な働き方を柔軟に受け入れ、感染症対策にも配慮したオフィス空間となりました。

適度な距離に「個人」と「チーム」が混在できる円弧型ソファー

大きく取り入れたのは「円弧」のモチーフです。ソファやカウンター、本棚など。空間をかたどる家具を全て円弧型にし、それぞれを繋げていろいろな曲線を空間に描きました。

「円弧」は、内向き外向きで距離感が変わります。内向きは短時間のチーム作業をやりやすく、外向きは個人作業しながらの偶発的なコミュニケーションが生まれやすくなる。ナレッジシェアやコミュニケーション、アイデア発想を活発化させる空間に、使う人自身が家具の「内と外」を使い分ける。そうすることで、それぞれの程良い空間がうまれることを期待してつくりました。

エントランスのソファも円弧型。

円弧型ソファと一緒に曲線を描く、本棚やパーテーション。

カウンターも円弧型。柱周りに本棚を設置することで、ちょっとしたバーカウンターのような雰囲気に。

社内セミナーが活発なトランスコスモスDI本部のみなさん。一層活発なナレッジシェアやアイディエーションがおこる仕掛けとして、スタジアム型のオープンなイベントスペースも用意。

階段状の観客型席は、車輪付きでじわじわと動かせます。ちょっとした角度や向きを変えることで、簡単に空間の使い方を変化させることができます。

オープンな空間の中でも、フォーマルなアクティビティにも似合う場として、品の良い素材を選定した約20人掛けの大テーブル。役員会議のようなフォーマルな会議から、ランチパーティーやプチセミナーなどのカジュアルなものまで。幅広く受け入れられます。

伝えたいメッセージの掲示やイベントスペースとしても機能する巨大スクリーンエリア。プロジェクター3台を同期させて実現しています。

インスピレーションを誘発する仕掛けをオフィスに埋め込む

オフィスの本来の価値とは何か。偶然通りかかった別の部署の人との何気ない雜談。ふと耳に入ってきた隣の白熱した議論。打ち合わせの隙間時間で見つけた本。自分の価値観や行動様式がほぼ決まっている自宅とは違う出会いができる場所。こうした余白の時間を、様々なインスピレーションに遭遇する時間に変えることは、オフィスが提供できる価値の1つと言えるかもしれません。

そこで、まだ知らないモノゴトとの出会いを促し、仕事に必要なインスピレーションを得られる場所を目指す空間の仕掛けとして、「ART」、「BOOK」、「MUSIC」の3つの軸を提案。カルチャーキュレーションのパートナーとしてQeticに参加してもらい、様々なジャンルのクリエイターに制作を依頼しました。

気鋭のイラストレーター・デザイナー4名(JUN OSON、GraphersRock、Utomaru、WALNUT)によるウォールプリント。家具は岩沢兄弟のデザインです。

半個室ブースとして。

ときには、オンラインイベントの登壇エリアにも。

「MUSIC」では、大比良瑞希、紗羅マリー、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、AAAMYYY、CHAI、chelmico、D.A.N.、Kan Sano、mabanua、tofubeats、U-zhaanの全11名が選曲。仕事のモチベーションが上がるをテーマに、それぞれ選んでいただきました。

「BOOK」では、様々な分野で活躍する全8名(ちあきさん)池澤あやか(ソフトウェアエンジニア・タレント)、市原えつこ(メディアアーティスト・妄想インベンター)、尾崎世界観(ミュージシャン・小説家)、草野絵美(アーティスト・タレント)、コムアイ(歌手・アーティスト)、佐藤健寿(フォトグラファー)、たなか(アーティスト・俳優・やきいも屋)、ヨシダナギ(フォトグラファー))に選書を依頼。枠外のインスピレーションとなるべく、「Creative」「Vitamin」「Social」という3つのテーマを軸に選書いただきました。

プロジェクトを振り返って

トランスコスモス株式会社 デジタルインタラクティブサービス本部 宮園康太
どのメンバーも初めて新しいオフィスにくると、非常に驚いて、かつ好印象を持ってくれてることが嬉しい限りです。フロアを分けることにより創造性と機能性も両立しているため、個人やチームの用途に合ったオフィスの活用ができているのではと考えています。今はまだ緊急事態宣言下もあり、積極的なオフィス活用を推進できない状態ですが、このオフィスから新しいサービスや人間関係が生まれることを期待し、活用のための運営を行ってまいります。

岩沢兄弟 いわさわたかし
出社が制限された状況下で、『オフィスの役割とは?』という根本的な問いに向き合ったプロジェクトでした。リモートワークが中心となったことで、今回のプロジェクトもオンラインを中心に進行しました。オンラインで進めていく中で、出社した方が良いこととはなんなのか?という課題をクライアントのみなさんと共有できたということも大きなポイントでした。同じ時間に集まれないとしても、時間差で同じ空間を体験し共有することで構築される企業文化や、そこに根付いていく企業風土という部分まで踏み込んで、空間デザインを考えることができました

岩沢兄弟 いわさわひとし
とても楽しいお仕事でした。今回、ソファーやテーブルには『円弧』という形をモチーフとして使っています。これは同じ家具を使って『個人』と『チーム』が共存出来たらいいなぁ〜と考えていた時に、商業施設の廊下に設置してあるウネウネしたソファーを見て『!』と思ったところから着想しています。『円弧』は内向き外向きで距離感が変わります。内向きはチーム作業、外向きは個人作業向き。ナレッジシェアやコミュニケーション、アイデア発想を活発化させる空間に、使う人自身が家具の『内と外』を使い分ける。そうすることで、それぞれの程良い空間を作る。そんなふうに使っていただけたらなと思っています

Shhh.inc 重松 佑
「別に家でも仕事できるのにわざわざ電車で1時間弱移動して会社に行く理由がない問題」に向き合い、私たちにとって会社とは、仕事とは、場とは、といった本質的なものを問い直すことができた仕事でした。今回はクライアントのみなさまとディスカッションしながら、「枠外の出会い」と「非同期のつながり」を生み出す仕掛けをオフィスの体験として落とし込みました。例えば電車の中で向かいに座っている人が自分の好きな本を読んでいたら知らない人だけど急に親近感が湧いてくる。そんな「共通のスキ」がオフィスの中でも生まれるような色々な工夫をしています。

クライアント:トランスコスモス株式会社 デジタルインタラクティブサービス本部
全体ディレクション、コンセプト策定、空間・家具デザイン、映像・音響機器監修:岩沢兄弟
インタビュー・ワークショップ設計、コンセプト策定、UXデザイン、ビジュアルデザイン:Shhh.inc
コンテンツキュレーション:Qetic株式会社
PM、7F会議室エリア設計:コクヨ株式会社
施工ディレクション、家具製作:株式会社小林工芸社
映像音響機器インストール:株式会社毎日映像音響システム
撮影:ただ
作品制作、選書、選曲協力クリエイター(順不同、敬称略):
– イラストレーション制作:JUN OSON、GraphersRock、Utomaru、WALNUT
– オフィスBGM制作:Kenmochi Hidefumi
– 選書:池澤あやか、市原えつこ、尾崎世界観、草野絵美、コムアイ、佐藤健寿、たなか、ヨシダナギ
– 選曲(プレイリスター):大比良瑞希、紗羅マリー、オカモトレイジ(OKAMOTO’S)、AAAMYYY、CHAI、chelmico、D.A.N.、Kan Sano、mabanua、tofubeats、U-zhaan (※Spotifyユーザーは無料で聴けます。)

竣工:2020年11月2日

トランスコスモス株式会社 デジタルインタラクティブサービス本部

トランスコスモスの中で、デジタルマーケティングを専門に扱う部門。